たくさんのご応募ありがとうございました!
はじめての開催だったので作品が集まるか不安でしたが、
歳時記もの、動物もの、ギャグ、実用もの、生活模様ものなどなど、
いろんなテーマで全123通ご応募いただきました。
編集部全員で読み込んで、大賞と入賞、ジュニア部門賞を決定いたしました。
受賞者のみなさん、おめでとうございます。
また、1次審査通過の方にも講評を記載しましたので、最後までご確認ください。
また次回の開催を予定しておりますので、
詳細が決定しましたらこちらのサイトでご案内させていただきます~。
「技能実習生といっしょ」
澤部なみ
田舎の工場で外国人技能実習生と一緒に働く主婦のお話。「日本語のヌが書けるってえらい?」「6の数え方が違う戸惑い」「ランチ場所はなんとなく国ごとに固まる」など、面白くてほっこりする異文化&お仕事コミックエッセイ。
- 編集部講評
- リアリティあふれる作業現場での、各国の実習生とのやり取りが新鮮で面白い。できる実習生に翻弄される主人公が愛嬌たっぷりで、それぞれのキャラも立っています。働く上でのちょっとしたコミュニケーションのすれ違いや、達成感&共感などをじっくり読んでみたいと感じました。全員が作業服なのでキャラの描きわけが肝になりそうです。
「なにかが臭い!」
しっとり
29歳の夏、ストレスから休職した主人公が、ふんわり漂ってくる臭いに突然ハッとして原因を探したり諦めたり…。誰もが1度は経験する“あるある”なのに、すぐに忘れてしまうような小さな出来事を拾い上げコミカルに描いた日常コミックエッセイ。
- 編集部講評
- 特大のストレスを抱え休職している…と寝込んでいる冒頭からは想像もできない、臭いの原因探し漫画に心奪われました。なにかが臭いと感じたときの人間の姿は生命力そのものかもしれない…と深みすら感じたほどです。家の中にいるだけなのに飽きさせない絵のタッチと構図がとても面白かったです。
「姉の犬から目が離せない」
やまもと妹子
姉夫婦が犬を飼い始めた。しかも「元野犬」。犬が苦手な主人公はもう気軽に家に遊びには行けないのかもと不安になるが、想像していた犬とは程遠いその姿にあの犬なら仲良くなれるかも…?と希望を持ち奮闘する姿をコミカルに描いたコミックエッセイ。
- 編集部講評
- 主人公と姉のキャラ、テンポ、構成がよく、コントを見ているようでした。とにかく犬が可愛い。どの角度から見ても可愛い。それだけで犬好きとしては最高でした。そしてなんといっても私もこの犬から目が離せない。笑いながら泣いてしまいそうなこの後の主人公と犬の物語を想像し、最後まで読みたいなと思いました。
「思い出ごと食べている」
チームおゆき
食べ物にまつわる忘れられない印象的なエピソードと共に、当時の味の記憶を辿りながらレシピを再現していく。誰もが一つは心の中に抱いているだろう、食の懐かしい思い出や体験を、柔らかいタッチの絵柄で綴ったコミックエッセイ。
- 編集部講評
- ハンバーグと結びついた管理人さんとのエピソードが、ホロリとし、初めて体験しただろう家庭料理の味に感動した幼い子どもの感情がよく伝わってきましたし、忘れかけていた懐かしい食べ物の記憶を呼び起こしてくれました。味の記憶を頼りにレシピを展開していくという構成も新鮮でした。冒頭のハンバーグの絵は本当に美味しそう。
「汚部屋住みオタクが掃除に目覚めた話」
彼岸烏月
同人活動に勤しむオタクが、汚部屋だった実家を出てこれまで溜め込んだ「モノ」と向き合うお話。洋服をはじめ、資料本やフィギュア、アクリルスタンドまで…オタクが大量に持つグッズを手放した方法が描かれている。
- 編集部講評
- 家具や空間の描写が細かく、部屋の状況が非常に分かりやすかったです。汚れた洋服や傷んだ食べ物など、ものの描き分けも上手で「うちにもある!」と共感してしまいます。手元に残したグッズの収納方法や飾り方についても、もっと読んでみたいと思いました。
「猫とのおちゃめな日常」
竹岳えのき(9歳)
我が家に仔猫が2匹やってきた!妹と迎えるドキドキの初対面、気ままにふるまう猫ちゃんたちから目が離せない!
- 編集部講評
- コマ割りもしっかりできており、猫を迎える喜びがはじけています。ラストのほのぼのするシーンもよく描けています。妹さんも一緒に応募してくれてありがとう!
一次審査通過者&講評
「自分軸100%にしたら、
生きるのがしんどくなくなった。」
朝倉Q子
「生きるのがなんかしんどい」売れない脚本家が、謎の豚の置物と対話しながら、自分軸で生きるヒントを得ていく。
- 編集部講評
- 「自分軸」「他人軸」という曖昧になりがちな基準を、豚の置物が明確に理路整然と言語化してくれる様子に、納得感を得られました。絵柄は可愛らしいが、線が細く、同じ構図の絵柄が続くので、印象が弱くなってしまったのが残念。アングルに工夫を!
「昆虫ラブストーリー
~カブトムシを飼う前に読んでほしいお話~」
ひえじまゆりこ
虫に全く興味がなかった著者が、4歳になる長男の虫とりをきっかけに、近所の公園で命をつなぐ昆虫たちの様子に感動を覚え綴った「昆虫ラブストーリー」。
- 編集部講評
- 昆虫カップルの一生と人間家族のひと夏を絡めるという斬新な設定がユニークで面白い。暗闇の中でのカブ斗とカブ音の言動が妙に切なく、思わず目をこらして読んでしまいました。所々挟まれるカブトムシのミニ知識がなかなか勉強になる。
「50代 兄妹でちょっと早めのセカンドライフ始めました」
副豆
あることがきっかけで、両親亡き実家にお兄さんと暮らすことになったマメさん。始めてみたら案外心地がいい今のスローライフな暮らしぶりをゆったりと描く。
- 編集部講評
- 大人になった兄との同居生活ぶりがとても健康的で、小さな幸せを感じながら&互いに協力しながら暮らしている様子がよく描けています。シングル同志で気があうきょうだいであればこの選択肢も悪くないと思えるポジティブな視点を評価。
「既婚女と独身女 コレがワタシの選ぶ道」
さとうあまた
夫との不和が原因で、独身の友人の家に逃げてきたチヒロ。子育てでいっぱいいっぱいなチヒロと対照的な、シンプルで理論的な友人の発言行動に目からうろこ…!
- 編集部講評
- 独身の友人アオイちゃんのひょうひょうとしたキャラがいい。自分の身の回りしか見えてないチヒロの世界が少しずつ広がっていく様子がもっと読んでみたいと感じました。女性の対立構造を描くのではなく、シスターフッドを描いてあるのがいいですね。
「指先に愛を込めて」
町田ねねこ
お裁縫が得意なお母さんの影響で、大人になって自らも手作りに精を出す主人公。幼いころは母の手作りが嫌だったけど、大人になった今、その価値を知る…。
- 編集部講評
- 絵のタッチや色彩がかわいらしくてほっこり。手作りの過去エピソードは共感性高く、思わず自分の母親に感謝したくなる。無から作り出すことへのリスペクトを感じる作品です。様々な手作りの型や図案がはいっても楽しいかも。
「図書館員の頭の中」
おおひら まゆ
図書館で働く奈津子さんの視点で描くストーリー。常連のシニア隊がいないとちょっと心配、読み聞かせボランティアに喜ぶ子供たちを見るのが幸せ…。などなど6話。
- 編集部講評
- シンプルな絵柄で淡々と展開される司書のお仕事が興味深い。司書ならではのテクニックや知恵、場の切り上げ方などいろいろあると予想されるので、そういった内容ももっと読んでみたかったです。背景が寂しく、表情も乏しいのでもう少し書き込みが欲しい。
「一軒家、一人暮らし、一人前になりたい」
蟹
祖父母が亡くなりその家を継いだ主人公が30代で初めての一人暮らし!しかも庭付き一戸建て。あれもこれもできる!という期待2割、住環境の維持や寂しさへの不安8割の暮らしがはじまる…。
- 編集部講評
- 絵のタッチが可愛い。テーマも今後同じような境遇になる人は多いのでは?と興味深かったです。問題と解決が2ページに集約されているので、1つの問題に対して主人公の感情を深堀したり、解決したりする過程が具体的に読めると、グッと学びのある作品になりそうです。
「ぺり~の日記」
ぺり~
24歳ゴキゲンgirl!ぺり~の日常。表情と動きが豊かで可愛いイラストで主人公を取り巻く人物たちの、テンポのよい物語が繰り広げられる4コマ漫画集。
- 編集部講評
- ぺり~さんの周りの人物が面白くて愛おしい。隅にキャラのプチ情報が載せられているのもコミックエッセイ好きとしては高ポイント!楽しませようという雰囲気を感じました。ただその名のとおり「ぺり~の日記」すぎたので大きなテーマがほしいところ!
「母がズレていると思ったら自閉スペクトラム症でした」
田地ツテト
ちょっと変わった母親の言動が、自閉スペクトラム症によるものと判明。その衝撃や葛藤が娘視点でコミカルに描かれた作品。用件は5W1Hで伝える、アンガーマネジメントを行うなど、具体的な対策も参考になる。
- 編集部講評
- 子供目線の「親の発達障害」という視点が新鮮。擬人化された犬のキャラクターがポップで、トラブルメーカーの母親も憎まれないキャラクターになっているのが良かった。母娘のコントのようなやり取りは、ずっと見ていたいと思ってしまうほど。
「私の思い入れグルメ」
峯鳥子
季節の食材と、それを通した家族のエピソードに心温まるコミックエッセイ。登場する料理はどれも手軽で簡単なのに、とびきり美味しそう。読むと季節の香りが漂い、お腹も空いてくる作品です。
- 編集部講評
- 元農学部教授の義父の個性的なキャラクターが立っており、それに振り回される家族の様子にほっこり。登場する料理がどれも本当においしそうなので、味の感想や家族の反応をもっと具体的に知りたいと思いました。
「緩和病棟事務、死について考える」
あや
緩和病棟で終末期を迎える女性患者と、事務員である作者とのささやかな交流が描かれる。94歳で寂しがりなおばあちゃんとお話やマッサージを通して生まれる絆に心が温まり、別れを受け入れていくシーンには、胸が熱くなる。
- 編集部講評
- 二人の会話ややり取りの間にある余白や間の取り方が上手で、それにより作品が優しい空気を纏っている。患者さんが旅立った後の作者の想いも丁寧に描かれているので、悲しいテーマでも読んだ後は優しい気持ちになりました。